エゾリスの会非公式ブログ(仮)

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ(仮)以前のブログ→http://d.hatena.ne.jp/noken/

(再掲・加筆)おすすめしません野生動物への餌付け・そして次に来るもの………

noken2016-11-23

画像は かびたパンをカモにやる人 →

このエントリは基本的には2010年1月25日のエントリを20161123に再掲したものをブログ引っ越しのためにさらに再掲したものです。
http://d.hatena.ne.jp/noken/20100125

しかし、上記の時期を書いた時点ではまだ、餌台に餌を置く程度で、エサが足りないと思い込んでいる人(実際にはエサを含め環境なりに個体数が調節されるのでやる必要がない)による行動が主でした。
しかし、最近の餌付けの傾向としては、「自分自身に対して馴らしたい」という強い利己的な行動が見られるようになり、それはカラスやカモなど他の動物への行動に拡大していく傾向がありました。

これを踏まえて書き直してあります。

公共的な場所での野生動物への餌付けはしないでください。ルールが公的に設定されている場合にはそれを尊重して下さい。個人の庭では、野生動物や生態系に「迷惑」をかけないよう、(財)日本野鳥の会旭山動物園「人と野生生物の関わりを考える会」の提言、または野生動物の公的専門機関にお尋ねください。
 その理由は以下の通りです。

1.必要がありません
  もともと野生動物は自立しており、餌付けの必要がありません。
  餌付けは、人間にとっては何か意味をもつ場合もあると思います。しかしそれは、人間の都合にすぎません。餌付けは「いま多い種」「人間に慣れやすい種」をさらに優遇していますが、これは全く不必要なことです。

2.公共の場所はあなたの庭ではありません
  自然の様子を変える、動物の行動を勝手に変える、勝手に公園を改変する、カスを掃除しない、私物を置きっ放しにする、見たくもない餌付けシーンを得意げに見せつけられる、意見するとスゴまれる。一切の責任をとらない。
  これが餌付けする人の実態です。

3.リスが増えればリスの交通事故も増えるでしょう
  帯広では「人間が餌でリスを不自然にふやしては車でひいている」状態です。餌付け人はそれに気がついているのでしょうか?公園の中ですら車にひかれている状態なのに、無責任だと思います。まちの姿として恥ずかしい。

4.環境教育上悪影響がある
  「野生動物にはエサをやるものだ」という間違った情報を流布しています。
  特に子供たちにそのように思い込ませるのは良くないと思います。

5.植生が変わっています
  緑ヶ丘公園では餌付けが多すぎ、リスが自分でうめたクルミをあまり掘り出さないことが観察されています。このため、クルミの木がたくさん植え込みから生え、公園に植えたツツジなどが枯れています。

6.調査による自然環境の評価を不正確にする
  餌付けをした環境で自然を正しく評価できるでしょうか?
  餌付けとは野生動物の数や場所を「餌付け人に都合がいいように」操作することが目的です。強く操作された生物を調べて自然を調べたと言えるでしょうか。リスを調べても自然環境の評価に結びつかないということになるかもしれません。

7.感染症や中毒の問題 最もおそろしい!
  エゾリスはノミだけでも数十頭が寄生している場合があり、その他に、ダニ、シラミもいます。餌付けによってリスの密度が高まるれば、寄生虫を利することになります。これらの寄生虫はライム病 マダニ媒介性の回帰熱 日本紅斑熱(リケッチア)重症熱性血小板減少症候群SFTS),ツツガムシ病を媒介します。また、ペストや狂犬病についての恐怖感から、北米大陸ではリスがたいへん恐れられているようです。
  自然な頭数以上に動物をふやすことは、これらの危険を増やすことになります。カラスやキツネに餌を与える行為も目撃されていますが、迷惑を被るのは餌付け人ではなく、他の人だということがおわかりでないようです。
  もしエゾリスが「害獣」扱いになったら・・・

9.動物がなれすぎ 傷害が発生
  人間は「野生動物があまり逃げない」というレベルで満足すべきでしょう。
  それ以上接近させること(手渡し餌)など、人間の欲を満足させるための行動でしかない。
  接近しすぎたリスによって噛み傷(ひどく化膿する場合があります)や登られただけで足にひっかき傷をおった方がいます。
  その責任は餌付けした方にありますよね。
 参照 2016年4月14日のエントリ 「月刊ISM」に餌付け問題記事
 http://d.hatena.ne.jp/noken/20160414

10.餌付けを見て不愉快になる人もいます
 餌付けは誰のため?何のため?ただ自分の所有欲を満たすためだけのものを公共的な場所におかれるのはいい気持ちではありません。
 近づいてこないリスに不満だから、エサで近づけている。これは公共の風景の勝手な改変です。そんなリスなんか見たくないとおっしゃる人はたくさんいます。トラブルを避けて面と向かって言わないだけです。それをいいことに野生動物や餌付け場所を私物化するのは大いに不愉快です。
 某所では、写真を撮る人がにナキウサギにリンゴやヒマワリをあげているとか・・・。原生花園でキツネの写真を撮るために積み上げたドッグフードの山をみると、ホントにがっかりします。
 エサと生ゴミは何がちがうのか?自然から見ればたいして変わらない。
 画像はかびたパンをカモにやる人です。注意しても全く聞く耳を持ちませんでした。

11.責任が発生しますよ!
 餌付けをすればそこに「責任」が発生します。自然はわからないことの方が多いので、何も完璧である必要はありませんが、「責任の発生」「どのような責任があるか」について自覚する必要はあると思います。
 野生動物はペットじゃない。野生を尊重し、遊びで餌をやって喜ぶ対象にすべきではないと思います。ペット飼うときも覚悟がいるのですから、野生動物も当然です。なぜ野生動物へだけ、エサやりっ放しであとは責任はないと思いこまれているのでしょう?愛玩動物で満足しましょう。
無責任状態の今のままでは「ペット以下の消耗品」ではないか?

餌付けとは野生動物の人工化です。

12.鳥がたくさん来る→自然の生息地から奪っているだけ?
 実際に、カモが来なくなったとおっしゃる方がいます。わき水の、キレイな池がお家のそばにある方です。
 エサでたくさん集まって来るということは、ほかから奪っているということに気がつきましょう。奪われた場所から見れば、(時限的にであっても)生態系から欠けたわけですから、半分殺されたようなものです。餌付けする人は、そういうことに気がついていないと思います。

13.問題を増やしている
 この問題にどれほど時間を浪費させられていることか!
 自然環境の保全の上で、一番問題があるのはもちろん生息地の破壊です。餌付け問題はそれらに比べれば小さいと考える方も多いでしょう。しかし、この「小さい問題」があるために、自然の評価が妨げられ、数少ない研究者が時間を奪われ、自然への理解が妨げられ、また、その説明に必要な分だけ時間が伸びているのです。私もこれを書くために、下調べから勉強から含め、数日使っているのです。

餌付けとは「欲」の発露です。このような環境保全上の障害となるような「欲」はコントロールされるべきだと思います。
最近。例えば日本鳥学会のようなところでも餌付け問題がとりあげられるようになりましたが、大きな問題であると広く認知されるまではまだ時間がかかりそうです。

【追 記】
より馴らすような餌付け(手乗り、手渡し)がここ数年流行ってきてますね。その気になれば誰でも出来ます。アフリカでサイの上にサギがエサを採りに乗っている画像が昔からありますが、あんなものです。不思議では無いのです。鳥がフレンドリーな意味合いで集まっているのでは無く、人を動物だけどエサがある場所、として認識している、それだけのことです。

人間はこのような光景を好ましいと思う性質があります、このような性質が家畜家禽を産み、また、一種の狩猟の知恵にも流用されています。
しかし、現代ではすでにペットがおりこのようなことで自然界を攪乱する必要は皆無です。この動画が投稿されて科なりの年数が経っており、その間に、シマフクロウやタンチョウですら餌付けを縮小していく方向性が打ち出され、また人獣共通感染症のリスクも見えてきました。
野生動物と接触することはなにも自慢できるようなことではありません。
無神経にもSNSや各種メディアが娯楽として野生生物を、自然を消費し続けたなら………

予言しましょう。餌付けの次に来るもの、それは「捕獲」「虐待」「金儲け」「駆除」です。

関連エントリ(このほか、PCの方は上部の検索窓に 餌付け と入力し、検索して下さい)

おすすめしません野生動物への餌付け
http://d.hatena.ne.jp/noken/20100125

マスコミの認識不足について
http://d.hatena.ne.jp/noken/20070801

帯広市環境基本計画に「野生動物に餌付けをしない」指針
http://d.hatena.ne.jp/noken/20150816

マダニ媒介SFTSウイルス北上中
http://d.hatena.ne.jp/noken/20140221

エゾリスにはマダニやノミがついています
http://d.hatena.ne.jp/noken/20130904

餌付けがエゾリスを殺すこともある
http://d.hatena.ne.jp/noken/20111210

野生動物への餌付けをしないで下さい(帯広の森
http://d.hatena.ne.jp/noken/20131119

旭山動物園の提言紹介
http://d.hatena.ne.jp/noken/20150821