エゾリスの会非公式ブログ(仮)

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ(仮)以前のブログ→http://d.hatena.ne.jp/noken/

再掲 鳥インフルエンザまとめメモ2016.1216のエントリ

エゾリスだけではなく、水鳥や小鳥、カラスにすら食べ物をやる方がいます。そうすると、直接関係のない方に鳥類が接触します。この現実に対して餌付け人は責任を取る気もないし、取る事は極度に困難でしょう。
鳥と人の間の病気はインフルエンザだけではありませんが、接近、接触しない、密集させない、長期間留まらせないという用心の基本を考えれば、公園のような公共的空間で餌付けを行わせたり、行なってはいけないことが分かります。庭のようなプライベートな空間でも感染拡大のステーションになりうることも想像できます。

              • 以下再掲します----------

noken2016-12-16


ブログ管理人のメモも兼ねています。今後内容も増えるかも。
野生動物に餌を与えないで下さい。安直な娯楽に組み入れられた野生動物は哀れです。
やるなら理念と人間行動の管理体制をしっかり決め、公的な責任者を設定すべし。それが出来ないならただの野生の消耗だ。
http://d.hatena.ne.jp/noken/20161123

鳥とヒトとの感染症鳥インフルエンザだけではありません。

オーム病 ニューカッスル病 サルモネラ感染症  
エルシニア症(仮性結核)  結核(マイコバクテリウム症)

吸血性ダニによる各種感染症
 ・「ワクモ」吸血による皮膚炎
 ・ツツガムシ科やナキンムシ科のダニによるウイルス感染症 ー 日本脳炎など

哺乳類まで含めると、書き切れません。合計30種類くらいでしょうか?
http://www.nih.go.jp/niid/ja/route/vertebrata.html

鳥インフルエンザについて書くとき、他にどれくらい感染症があるのか知ることは案外大事だと思います。
もし感染症が30あれば、ざっくり言えば餌付けなど接近、接触リスクは30倍になるわけです。
でも、野生鳥獣の密集を減らし、ヒト(&家禽家畜)との接触機会を断てばリスクは極端に小さくなります。
ーーーー
今回はおもに鳥インフルエンザについて自分へのメモの意味も含めてまとめておきます。

2007年までのまとめとしてはここが最もしっかりしていてわかりやすいと思います。
鳥インフルエンザに対するバードライフ・インターナショナルからの声明(2007年2月9日)
http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/influenza/infl20070306/

我が国における高病原性鳥インフルエンザの発生状況について 家禽:農水省
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/H28AI/h26_hpai_kokunai.html

高病原性鳥インフルエンザに関する情報 野生鳥類:環境省
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/


これまで話題になった各型

H1N1 2009年に発生し、人間の間で流行した新型インフルエンザ Aソ連型ともいわれる。
ブタの間で流行していたインフルエンザがヒトに感染し広がったもの。
2009/10シーズン以降全く報告されていない(国立感染症研究所
http://www.nih.go.jp/niid/images/idsc/disease/influ/fludoco1415.pdf
ヒト感染した場合の症状は比較的軽いが、「スペインかぜ」はこの型の一つにもかかわらず変異によって致死性が高まり、2年間で5000万人から1億人の死者が発生した。

H7N9 鳥に対しては低病原性(ほとんど症状がない)であるにもかかわらず、ヒトに感染した場合の死亡例がある。2013年上海でヒトへの感染が見つかり、以後、60の感染13の死亡例が報告された。
中国の家禽の生肉市場と感染に深い関係があり、政府はこの市場を廃止しようとしている。2013年にヒト→ヒト感染による死亡例が報道されたが、ごくまれな例である。
http://www.cnn.co.jp/world/35035706.html
↑これはもう過去の認識。いま最も恐ろしいのはこのH7N9と考えます
2017.1020東京大学発表
高病原性 H7N9 鳥インフルエンザウイルスは、哺乳類間で飛沫感染すること、哺乳類に対し
て致死的な感染を引き起こすことが分かった。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/files/171020.pdf#search=%27H7N9%27
そして、パンデミックがすすむ と書いています。
日本医療研究開発機構によれば、国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、2017年9月20日時点で1,589例の感染者が確認され、そのうちの616名が死亡しています。
http://www.amed.go.jp/news/release_20171020-02.html
このような事態を招いたのは人間です。人間が家禽や野生鳥類との境界線を曖昧にした生活を送っている地域があるから、ウイルスが哺乳類に適応してしまったのです。
ヒト 家畜家禽 野生動物 これらは明確に線引きして暮らさないとお互いが不幸になります。
また2016.12にH7N7 H7N2が韓国で検出されています。韓国では他にH5N6 H5N8 が今期検出されています。
一体どんな防疫体制なのだろうか。韓国では全国の家禽の1/4を処分する事態になっている。
http://world.kbs.co.kr/japanese/news/news_Dm_detail.htm?No=61970

アメリカではH7N2がネコ380匹と獣医師に感染している。
感染ルートは不明だが院内感染を匂わせる記事。
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/8/18769.html

H5N1 2005年中国青海湖で数千羽の野生鳥類(インドガン、ズグロカモメ)が死亡した際のインフルエンザウイルス。
http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/influenza/infl20051109/
この湖では、家禽化されたインドガンを用い、希少種の野生復帰を試みていた。
また、2003年から4年にかけて韓国、日本の家禽で大流行した。
もしヒトへの感染力を持つように変異したらスペインかぜ以上の被害が出ると予測されているが、
現在のところ否定的な見解が強い。いままでの大流行が、すべてブタを経由したものであり、鳥から直接感染したものは、よほど鳥と濃密な接触をしたものや、遺伝的特徴から重篤化しやすかったものと考えられているからである。

水禽の死亡は2002年香港以降と書かれている。
「H5N1高病原性鳥インフルエンザ青海湖
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/MM1606_04.pdf

H5N8 2014年に北半球の渡り鳥と家禽で感染が多く見られた。日本でも農場での発生がある。ヒトへの感染実績はない。
実は今年の流行はこのN8ではないかとみられていたようだ。

H5N6 2016年の今シーズンに非常に広い範囲で流行している型。
韓国ではかなりの家禽が被害に遭っているが、日本では多くの野鳥で発見されているにも関わらず、家禽の被害は韓国と比べてずっと少ない。残念ながら北海道清水町やガードが堅いはずの宮崎で被害が出てしまったが……。
ヒトへの感染実績はいくつかあり、死亡例もある。(WHO)
http://www.who.int/csr/don/07-december-2016-ah5n6-china/en/
いくつかの猛禽類で感染が見られていることから、その餌となる生物にも感染していると考えるのが自然で、日本列島の広く細かい範囲に感染が広がったということになる。ハヤブサ(エサは小鳥)、フクロウ(エサはネズミ)、カンムリカイツブリ(餌は魚だが、これは水や底質経由かも知れない)など。

韓国ではこのH5N6がネコの死体から検出された。
https://this.kiji.is/187860618967877111?c=39546741839462401

鳥インフルエンザ A(H5N6):東および東南アジアにおける人獣共通 鳥インフルエンザの脅威発生についての最新追加情報」
http://www.vet.kagoshima-u.ac.jp/kadai/V-PUB/okamaoto/vetpub/Dr_Okamoto/Forum2/HPAI%20in%20the%20World/Avian%20influenza%20A(H5N6).pdf

ーーーーーーーーー
・野鳥からでも家禽からでも人間が直接感染するためには、かなり濃密な長期間の接触が必要(日本の環境では野鳥からの「感染」はほぼ無理)。
・しかし、人が「運搬役」になることは大いにある。鶏舎へ、あるいは別な餌付け場へと運搬してしまう。
・家禽の死体がそのまま大量にぶら下がっているような環境に、長時間晒されると人への感染の可能性が高まる。
・集めるな!鳥獣も、人間も集まると感染症を利する。学級閉鎖をなぜするのか?これを理解して欲しい。餌付けの中でも人間をコントロールしていない不特定多数の野放図な餌付けは最悪である。
・いまの餌付けは餌付けのための餌付けが多い。継続したいのなら鳥類だけではなくその環境を第一に考え人間をコントロールできる体制をつくるのが最低限の責任。
・ヒトの移動によって、ウイルスが移動する。衣服、道具、靴の裏、車のタイヤ(韓国では幹線道路沿いにアヒルへの感染が起こっている。)。養鶏場での管理がきびしいのは当然のことだが、餌付け場所間のウイルス移動に人間が関わっているリスクを考慮すべし。
・インフルエンザで「死なない」「病気にならない」鳥類がインフルエンザを運ぶ。インフルエンザで死ぬような鳥は、ウイルスの運搬には適さないことはわかるだろう。つまり、スズメでもインフルエンザを運びうる。
・水鳥の餌付け場には、エサが穀物の場合多くのスズメが訪れている。パンなどの場合はカラスやトビが来る。これらがウイルスの運搬をする可能性は第一に考える必要がある。
・カモ類が直接鶏舎に侵入出来ないだろう。間に小鳥やネズミなど別な生物が存在していることは常識的に推測されている。(猛禽やフクロウの感染も、これを裏付けている。)
・ハエなどの昆虫も短距離なら運び屋になりうる(ハエからもウイルスが見つかっているが、体内に保っていたものではないかもしれない)
2004年高病原性鳥インフルエンザ国内流行地で採集されたクロバエ類からのH5N1亜型インフルエンザウイルスの検出と分離
http://idsc.nih.go.jp/iasr/26/303/kj3031.html
・北海道のような冷涼な環境では、このウイルスは死なずに長期間野外に存在できる。

改めて申し上げますが、インフルエンザは数ある感染症の一つにすぎません。
リスクは感染症の数だけあるのです。
あそびや娯楽で野生生物を集めたり接触したりすることは、その生き物とその場にいた市民を悪者にしてしまう可能性を高めます。

餌やり、折り合わず 安曇野鳥インフル不検出
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20161215/KT161214FTI090028000.php
行政のお願いをはねつける形で身勝手な理屈で餌付けを再開しています。
これまでハクチョウの餌付けを観光資源として奨励してきた行政が強く出られないのでしょう。
やりたい人にお任せする形の「餌付け」などは、野生生物や自然の仕組みを十分に理解せずに行っている例がほとんどですから、簡単に任せていいとは思いません。
この感染が広がった状況で陰性だったからと餌付けを始めるヒトの気が知れない。その後その場所でハクチョウが死んだら、その鳥の運が悪かったんだなどというのだろうか。責任というものをどう考えているのだろう?
犬の飼い方を知らない人に、犬を簡単に飼わせるだろうか?それと同じことだ。

重症熱性血小板減少症候群SFTS)ウイルスが北海道のマダニより発見
http://d.hatena.ne.jp/noken/20140225

特に公共地では野生動物への餌付けはやめて下さい。
http://d.hatena.ne.jp/noken/20161123

また、公共の場所で餌付けを目撃されたら、その場所の管理者にお知らせし、対策を促して下さい。市民の声で行政は動きます。