エゾリスの会非公式ブログ(仮)

北海道帯広の環境系まちづくり団体「エゾリスの会」会員による非公式ブログ(仮)以前のブログ→http://d.hatena.ne.jp/noken/

間伐の意味と間伐材の使い方

施業(林業)の世界では、売却すれば間伐、そうでないものを除伐と呼ぶのが正式と聞いています。私たちは区別せずに間伐と呼んでいます。「帯広の森」は都市公園ですし、目指すのは森です。林業は目指しません。

*切り口に埋もれた枝の跡。これは「育樹祭」の痕跡です。育樹祭の実施はとても画期的なことだったと言えます。

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林業では、収穫するためのいい木(太くて真っ直ぐな)を作るため、選木して間伐します。しかし、「帯広の森」は「材」は目的ではありません。

「高木層を充実させる」
一見、材を太らすことを目的なようですが、違います。「森にする」ことが目的なのです。高木層の役目はいろいろありますが、一般の方がおそらく思いつかないのは、

樹冠をつくり、林内を適度な明るさ/暗さに保つ」

ということでしょう。
明暗のコントロールが最重要な役目です。特に、植樹後40年くらいまでは明暗のコントロールと、高木の成長のバランスに腐心し続けると言っても過言ではありません。明るすぎるとオオアワダチソウなど外来種の繁茂を招き、これを制圧しようと草刈りを徹底すると、自然林の林床植物がほとんど生育できなくなるばかりか、次世代の高木も育たなくなります。

間伐材で作った椅子とテーブル。その背後のしっとりした林床。

慎重に、順応的な管理が必要となります。しかし、人間はつい勢いでやりすぎる。効率を求める。それが「罠」です。我々がしているのは林業ではないのです。

また、区分によって技術的な違いが生じます。
エゾリスの会が担当している林では、「原生的自然の森」が大半ですから自然林を目指せば良いのです。
しかし、それ以外の区分もあります。

帯広の森の森づくりガイドライン
https://www.city.obihiro.hokkaido.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/940/guidelines.pdf

では、人の利用程度によって、「森」「散開林」にも分けられています。特に「森」では人が利用しながらも、いろいろな生物、自然と触れ合えることを目標としています。利用すれば林は消耗、撹乱します。これに負けないように自然を保たなければいけないので、「原生的自然の森」よりも難しい管理が必要となるでしょう。

林床の明暗のコントロールを少し述べただけで、こんなに長くなるのですから、ほかのさまざまなことを読んでもらえるように述べるのは大変です。
しかし、そのぶん、実際の作業には面白みがたくさんあります。あんなにしつこかったアワダチソウが衰退し、オオウバユリやオオバナノエンレイソウなどがいつの間にか花を咲かしているのを見ると、うまく行った!とニンマリします。

エゾリスの会ezorisunokai.jpでは、さらにこれを数値化し自然林へどれだけ近づいているか評価するための調査をしています。

看板にしたり、椎茸のホダ木にしたり